1. HOME
  2. PICK UP CONTENTS
  3. 体験価値で設計するブランドコミュニケーション

PICK UP CONTENTS

体験価値で設計するブランドコミュニケーション
「TOQ IMMERSIVE OOHシリーズ」にみる、リアルな顧客接点がつくる体験価値とは?

インタビュー

東急OOHメディア事業局 事業戦略部
武田 裕貴 × 山田 桃華 × 大木 寿真

当社は2025年3月、従来の受動的な接触から先進的なデジタル技術やIPコンテンツを活用して能動的に楽しめる没入感の高い広告企画「TOQ IMMERSIVE OOHシリーズ」をスタートしました。
没入型OOH広告「TOQ IMMERSIVE OOH」を通してどんな体験価値が得られるかについて、3名に話をききました。

テーマ1
没入型OOH広告「TOQ IMMERSIVE OOHシリーズ」とは

「TOQ IMMERSIVE OOHシリーズ」とは、どのような広告なのでしょうか?

大木:TOQ IMMERSIVE OOH シリーズは、OOH広告と先進的なデジタル技術やIPコンテンツを活用することで、従来の受動的な接触から能動的に楽しめる没入感の高い広告体験を実現する広告サービスです。当社ではリアルな接点(フィジカル)とデジタル接点が融合した場での魅力的な体験価値の創造「Phygital Experience Design」を提唱しています。TOKYU OOHもリアルメディアであるOOHとデジタル技術を掛け合わせることで、体験性や拡張性を備えたOOH媒体ならではの魅力を付加し、媒体価値と広告効果の向上を目指しています。実証実験を経て、現在は「TOQ IMMERSIVE OOH_SOUND」「TOQ IMMERSIVE OOH_AR」「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」を展開しています。

TOQ IMMERSIVE OOHシリーズで得られる体験価値とはどのようなものでしょうか?

大木:当社のPhygital Communicationを推進するチーム「Phygital Syndicate」では体験価値を「感覚・感情・思考・行動・関係」の5つの領域に分類しています。TOQ IMMERSIVE OOH シリーズでは、OOH広告と立体音響やAR技術、ショートドラマやクイズ番組といったコンテンツを通して、いずれも「感覚的体験(=五感で感じられる楽しさ)」を大きく高め、さらには「感情的体験(=自分の感情が動く楽しさ)」や「行動的体験(=行動してみたくなる楽しさ)」にも寄与できると考えています。これらの効果については複数回のアンケート調査にて検証していく予定です。

テーマ2
体験価値の重要性

没入感=イマーシブは、エンターテインメント業界のキーワードにもなっています。イマーシブであることは、通常の体験と比べ、ブランド(広告商品)への影響としてどのような違いがありますか?

山田:従来のOOH広告は、生活導線の中で反復的に接触させる点が特徴ですがその多くは受動的な体験にとどまります。
一方TOQ IMMERSIVE OOH シリーズでは、OOHと立体音響やAR技術、ショートドラマやクイズ番組などのギミックの掛け合わせにより広告接触者の一人ひとりが没入できるような仕掛けを作り、インタラクティブな体験を通じてブランドの魅力を伝えます。これによりブランドへの理解を深め、興味喚起・購入意向まで影響を与えることができると考えています。訪れる街や移動中の電車空間の中で得られる没入感のある体験は生活者にシェアしたくなるきっかけを生み、誰もが気軽に情報発信できる現代においてSNSを通してブランドへのエンゲージメントを高めることにつながります。

乗客(生活者)からの反応をお聞かせください。

山田:2024年7月に実施した「TOQ IMMERSIVE OOH_SOUND」の実証実験では高い広告体験満足度と体験リピート意向を獲得することが出来ました。2024年11月に実施した「TOQ IMMERSIVE OOH_AR」の実証実験では約8,500人がAR体験を楽しみ、SNS上では約3万件の投稿がありました。これらの二次推定imp数も含めのべ総imp数として約3,500万impに達し、大きな認知拡大につながっています。また、2025年4月から放映開始した「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」ではコンテンツを見た東急線利用者の方から「つい見てしまう」「面白い」「QRコード遷移先も体験した」などといった好意的な声が寄せられています。

広告主からはどのような反応がありますか?

山田:多くのお問合せをいただいております。特に、「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」の放映を開始したあと、増えました。
今後は、広告主さまが実施を検討、判断しやすくするための、事例共有、データ、広告効果を示していく予定です。

テーマ3
体験価値の向上

体験価値を向上させるためにはどのようなポイントがありますか?

武田:当社のPhygitalコミュニケーションを考えるチーム「Phygital Syndicate」ではブランドと生活者との関係性に合わせて最適な文脈の顧客接点を選び、その接点に最も相応しいコンテンツを作成・提供することが最適な体験価値につながると考えています。 TOQ IMMERSIVE OOH シリーズにおいてもOOH広告と先進的なデジタル技術を掛け合わせる上で、そのギミックを活用しながら生活者にどのような体験を提供しどのような意識や行動を喚起するのかという視点で体験価値を設計していくことが重要だと考えています。

「TOQ IMMERSIVE OOH」シリーズには、現在「SOUND」「AR」「MOVIE」の3種類があります。それぞれの違いと得られる体験価値について教えてください。

武田:まず「TOQ IMMERSIVE OOH_SOUND」では広告内のQRコードを読み取ると、イヤホンを通して立体的な音響体験ができ「好きな人やものがすぐ近くにいる」ような没入感を楽しめます。これにより「感覚的体験(=五感で感じられる楽しさ)」「感情的体験(=自分の感情が動く楽しさ)」「行動的体験(=行動してみたくなる楽しさ)」を得られます。
次に「TOQ IMMERSIVE OOH_AR」はスマートフォンで広告内のQRコードを読み取ることで、AR技術によって現実の光景に文字やグラフィックなどのCG映像が合成され、広告を空間的に楽しめます。これにより、「感覚的体験(=五感で感じられる楽しさ)」「感情的体験(=自分の感情が動く楽しさ)」「行動的体験(=行動してみたくなる楽しさ)」を得られます。
最後に「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」では電車内ビジョンで生活者に興味と共感を喚起するエンターテイメント性の高いコンテンツを放映することで「感覚的体験(=五感で感じられる楽しさ)」「思考的体験(=自分の思考が刺激される楽しさ)」「行動的体験(=行動してみたくなる楽しさ)」を提供しています。

取り組んだ事例を教えてください。

武田:「TOQ IMMERSIVE OOH_SOUND」では実証実験として東急線車内ポスターや渋谷駅構内の大型ポスターにて、世界的エンターテイメントライフスタイルプラットフォーム企業HYBEの日本本社である株式会社HYBE JAPANと協業し、HYBE LABELS所属の「TOMORROW X TOGETHER」「BOYNEXTDOOR」の広告展開を行いました。
また、オーディオストリーミングサービスSpotifyと連携し、電車内広告を通じて人気ポッドキャストを楽しめる特別列車「Spotify Podcast Train」を実施しました。
「TOQ IMMERSIVE OOH_AR」では実証実験として東急線車内や渋谷駅構内・街中のデジタルサイネージにて、アソビシステム所属のアーティスト「FRUITS ZIPPER」による「渋谷アップデート大作戦!!飛び出すMVもNEW KAWAIIと思います!!」の広告を展開し、大きな反響がありました。
「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」では第一弾コンテンツとして日本一のショートドラマクリエイター集団『ごっこ倶楽部』を運営する株式会社GOKKOと連携しショートドラマを放映、第二弾コンテンツでは朝日デジタルラボが科学雑誌カテゴリ発行部数国内No.1を誇る雑誌『Newton』と共同で運営するWebメディア「Newton Hub」を基盤にした科学クイズ番組『Quizカガク視点』の放映を行っています。

テーマ4
これからの(OOH)広告に求められること

今後OOH広告が担う新しい役割や使命はなんでしょうか。

大木:OOH広告もデジタル化が進む中で、デジタルをはじめとした他メディアと連携したプランニング、広告展開が主流になっています。リアル空間での体験がSNSなどを通じて共有・拡散されることでより多くの人に、広告が届きOOH広告の体験価値向上によりさらなる広告効果が期待できます。今後はOOH広告そのものが魅力的な体験の一部として、人々の生活空間や都市景観と調和しながら楽しさを提供できるような取り組みが、広告主だけでなく媒体側にも求められると考えています。

喫緊の課題

武田:デジタル技術やカメラ・位置情報サービスなどの技術進歩により、OOH広告においてもデータ取得の手法が多様化してきています。OOH広告の可能性をデータで可視化し、ターゲットの数や属性分析にとどまらず、SNSでの波及効果やブランドリフト、体験価値の向上を具体的な数字で可視化することで、次回施策に向けた具体的な改善策を提案できる体制の構築が求められています。

テーマ5
今後の展開について

今後の「TOQ IMMERSIVE OOH」シリーズとして、どんな新展開を構想していますか?

大木:体験価値に関心が集まると、自然とリアルな広告接点であるOOHが注目されます。
「体験・拡散のトリガー」として、先進的デジタル技術をどんどん取り入れ、注目のIPコンテンツと掛け合わせた展開の実施を加速していきます。
「いつも話題の広告は東急線で始まってるな~」「東急線にはおもしろい体験があるなぁ」という知覚をつくり、電車だけでなく、東急沿線でのエンターテインメント活性化につなげていきたいです。

TOQ IMMERSIVE OOHとは

「TOQ IMMERSIVE OOH_SOUND」
広告内のQRコードを読み取りイヤホンを利⽤する事で、⼿軽に⽴体的な⾳響を体験できる広告施策。
イマーシブサウンドが再⽣されることにより、広告接触者に対して「好きな⼈やものがすぐ近くにいる」ような没⼊感の⾼い体験及びコンテンツとして能動的に楽しんでもらう広告展開が可能。
「TOQ IMMERSIVE OOH_AR」
スマートフォンの位置情報や画像認識を活用したARアプリ連動の広告施策。
AR技術によって現実の光景に文字やグラフィックなどのCG映像が合成され、空間的に楽しめる広告展開が可能。
「TOQ IMMERSIVE OOH_MOVIE」
東急線の車内液晶モニター「TOQビジョン」を通して東急線利用者に興味関心と共感を持ってもらうエンターテインメント性の高いコンテンツを提供する広告施策。
第一弾コンテンツは株式会社GOKKOとの連携によるショートドラマ、第二弾コンテンツは、Newton Hubとのコラボ企画『Quizカガク視点』を展開。

TOQ IMMERSIVE OOH_HOME