ワコール チーム

WORKS

MEMBER

正解がない広告の仕事で働くということ

2016年3月にワコールから発売された新・解放系ブラジャー「SUHADA」。初年度販売実績は40万枚以上、同年の日経トレンディの「ヒット商品ランキング」の11位にランクインするなど話題になった。「新しいワコール、はじまる」というコピーのもと、世間の下着への関心度を高めることを目指したというワコールチームのメンバーに話を聞いた。

"新しいワコール"の象徴をつくる

吉原

当社とワコールさんとは古くからお付き合いがあったのですが、実はこの「SUHADA」を担当させていただく前は、決して深くお仕事をさせていただいている状況ではありませんでした。そんな中でお声掛けいただいた競合プレゼンテーションが今回のプロジェクトの始まりでした。お題は、「"これまでの常識を覆す、まったく新しいブラジャー"の登場をいかにして伝えるのか」ということ。営業の私の役割は、少しでも新商品の情報やクライアントの考えていること、ターゲットのインサイトなどのヒントをかき集め、社内のスタッフと一緒に、どうやってこの競合コンペを勝ち取るかという戦術を立てることでした。

桝本

私はストラテジックプランナーとして、具体的な根拠をもって、提案の"方向性(戦略)"を示す役割を担っています。本プロジェクトでいえば、下着業界の市場規模推移や生活者調査結果から、世の中の下着というカテゴリ自体への興味・関心を引き上げることに設定しました。その意図を汲んで、髙橋は一見するとコスメのCMと見紛うような、これまでにない洗練されたインパクトあるクリエイティブを提案してくれました。

髙橋

ワコールは、日本の女性の下着市場を牽引し続けてきた、リーディングカンパニーです。創業70周年の節目の年に、ワコールが社運を賭けた新商品のローンチコミュニケーションを設計する。そんな大きなプロジェクトに参画させていただくことへの緊張感を感じつつ、どうすれば世の中に埋もれないインパクトのある広告になるか、そしてこれから先、女性たちに長く愛される「ロングセラーブランド」になるための視点で、戦略を考えました。チームで目指したのは、"新しいワコール"の象徴として、「SUHADA」を発信するということです。

桝本

機能そのものが発明のような商品ですので、本当はそれを全面に打ち出すことも方法としてはあり得ます。しかし、あえてそうしないことで、下着業界を越えて話題になり、最終的に多くのターゲット女性の心を掴むことを狙いました。クライアントに、そのゴールをご理解いただけたのがありがたかったです。

吉原

競合コンペで仕事を勝ち取ったことは決してゴールではなく、そこからが本当のスタートになります。そこからクライアントと一緒に何十時間も議論を重ね、産みの苦しみの時点から志を共有できたことが、このような結果につながったと考えています。

チームだからこそ発見できた、
リアリティのある女性インサイト

髙橋

クリエイティブディレクターは、担当する商品について、誰よりも深く考えなくてはならないと思っています。関係者の意見をまとめ、一つの方向性を示すために、そうしなければ見えてこないことがたくさんあるからです。今回は女性用下着という商品ということもあり、吉原や桝本などワコールチームの女性陣と積極的に意見を交換しただけでなく、東急エージェンシー社内の女性社員にたくさんインタビューをしてインサイトを探っていきました。男性視点で捉えがちな、ステレオタイプな女性のインサイトではなく、とにかく女性たちの気持ちに寄り添うことで見えてくる、リアルで発見のあるインサイトの探求にこだわりました。

桝本

100本ノック並みにたくさんブレストしましたね。チーム内だけでなく、我が社の女性社員もすごく協力的で。「SUHADA」をはじめとしたたくさんの商品を試着して感想をくれたり、下着に関するインタビューに答えてくれました。

髙橋

その過程で気づいたのが、女性は男性に比べて、下着について、自分の意見やこだわりをとても細かく持っていること。また、女性は他人からどう見られるかということも非常に気にしています。調べてみると、ガードルを着用することを、男性に知られたくないと思っている女性の割合が多かったのですが、実は、多くの男性が、女性のガードルの着用について気にならないどころか、むしろ、女性自身が自分の姿をキレイに見せるための習慣に、好意的な印象を持つ割合が多いことがわかりました。

吉原

このギャップを利用して生まれたのが、ガードル全体の着用啓発を目的としたキャンペーンです。ある俳優さんが、ガードルを身につけている女性の美しい後ろ姿についつい見惚れてしまうといったWEB動画を制作しました。男性目線からのアプローチが斬新だったことと、はにかむ俳優さんの表情が素敵だったことで、こちらもネットなどで話題になりました。

髙橋

現代の若い女性たちには、ガードルは、「きつくて苦しかったり、年配の女性の方が履くもの」というややネガティブな印象があります。つまりマイナスメージの「壁」がある。だからこそ、広告のアプローチ方法は、新しい角度で設計しないと、その壁を超えられないし、ターゲットのインサイトには届かない。その一例として、例えばCMでは、過去のガードル表現には全くなかった、視覚的アプローチを探求し、日本の伝統技能の「轆轤(ろくろ)」をキービジュアルとして、美しくなめらかな曲線の動きで、ガードルを着用した女性の美しいヒップラインを、大胆に表現しました。斬新な企画を受けいれていただいたクライアントにも、大変感謝しています。ありがたいことに店頭では大反響で、商品の売上アップに貢献できました。

迷ったら、"売上"に貢献できるアプローチを選ぶ

吉原

「SUHADA」は初年度約40万枚をという、下着業界では近年稀にみる販売枚数を記録。店舗業態によっては、前年の倍以上の売り上げを記録したという話も伺いました。クライアントの社内でも、上層部の方々から売り場の販売員の方々までたくさんの方から好評の声をいただけたのが本当に嬉しかったです。

桝本

これまでにない画期的な商品にふさわしい、これまでにないクリエイティブを新たにつくりあげることに参加できて光栄です。当社のワコールチームだけでなく、クライアントも巻き込んで、固定概念にとらわれることとなく、売上アップという方向を正しく向いている、素晴らしいチームです。

髙橋

広告は、正解がいくつもある仕事。人の心を動かすモノである以上、そこにはたくさんのアプローチの可能性があります。関わる人の受けとめ方によっては、その判断基準が時にブレやすくもなる。迷ったとき自分は、「どのアプローチが、いちばん商品の売上に貢献できるのか」という視点で、進むべき道を考えるようにしています。

吉原

とあるエリアの販売員の方とお話しした際に、「今回のCMとてもいいですね。商品の魅力が伝わるので、お客様にご紹介しやすいし、お店にいらっしゃるお客様からの反響もたくさんあります」と言ってくださったときに、当社のワコールチームとクライアントであるワコールさんとの一体感を感じて感動したことを覚えています。

髙橋

商品の売上がよく、クライアントも、自分たちも、その広告制作に関わったメンバーが全員ハッピーな時って、最高の達成感があります。一方で、自分一番手強いと感じるのは、同じ商品を複数年担当するケース。前年の自分たちの広告がライバルなわけだから、このチームは毎年が勝負なんです。

未来の新人社員に期待すること

吉原

自分の考えを口に出してアウトプットすることです。本プロジェクトもそうでしたが、会話することから新しい視点やアイデアが生まれるからです。新入社員のうちは委縮して、なかなか意見を言いづらい人も多いかもしれません。間違えてもいいから、自分の考えていることを言葉にまとめて伝えることが、自分自身の成長にもなるのではないでしょうか。

桝本

私たちの仕事に明確な答えはありません。同じ答えが、異なるプランナーからでてくることはまずありえないんです。だからこそ、「あなたが言うなら、その案でいきたい」と言ってもらえるために普段からどんな努力ができるか。いかに考え抜くことができるか。私は今、その答え探しの途中にいます。その道のりに一緒に取り組んでくれる方と、一緒に働けたら心強いです。

髙橋

色んな人がいるのが、広告会社の魅力。だから、自分は、どんなタイプの人でも、一緒に仕事をしてみたいし、必ず楽しく仕事できると思っています。自分が決めているルールは一つだけ。その仕事に一生懸命じゃない場合は、しっかり怒ります。

ページトップ